立命館大学の宮口先生にご講演いただきました。宮口先生は児童精神医として、医療少年院などにも勤務されています。頑張れない子どもたち、非行や犯罪に至る子どもや若者の中にある認知機能の弱さに着目して、できるだけ早く気づいてあげて必要な支援を行うことが大切だと「コグトレ」を実践されています。感想を見ると、兵庫の学校でもすでに取り入れてやっておられるところが多くありました。以下、講演の前半部分を少しだけ紹介します。後半はコグトレの具体的方法をたくさんご紹介いただきました。会場でも参加者に課題を提示されて私たちもやってみましたが、頭をフル回転させなければならず、「あかん。ひとつも覚えられなかった」と苦笑している先生もちらほら(笑)この続き、興味のある方は、宮口先生の著書(「ケーキの切れない非行少年たち」など)やコグトレに関わる本を検索してみてください。宮口先生、とても勉強になりました。ありがとうございました。

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・頑張れない、犯罪に至った子どもに図形を模写させたら、全く形が取れない。世の中のこともきっと 
 ゆがんで見えているのではないか。「俺のこと睨んでいる」「悪口を話している」と受け取ってしま
 う見え方、聞こえ方も同じなのではないか。自画像を書かせると、とても幼い絵で、いかにボディイ
 メージができていないかがわかる。
・被害者の気持ちがわからないなど、社会性の問題も、認知機能の弱さからきているのではないか。
 悲しい場面で笑ってしまう子がいる。「ここは笑うところではない」と注意したり、修正を促したり
 するのが今までのやり方。小学校の通常学級で読み書きの苦手な子がいる。丁寧に書くようずっと指
 導されてきたが変わらない。できないのをひたすら頑張らせるだけでは解決しない。ある子どもの日
 記に「こんなに頑張っているのに先生はわかってくれない」とつづられている。大人ならストレス発
 散の方法はいろいろあるが、子どもにはそう多くはない。どう助けてあげるか。
・困っている子どもの特徴は5点+1
 ①認知機能の弱さ ②感情統制の弱さ ③融通の利かなさ ④不適切な自己認知 ⑤対人スキルの乏
 しさ +不器用さ
 コグトレは学力や社会性の土台を育てるプログラム。まずはしんどさの原因、弱さについてしっかり
 実態把握をする。その実態把握にもとづいて、計画を立てて実行することが大切。



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